野外採集した虫を産卵させてみよう!【ミヤマクワガタ編】
8月ももうすぐ終わりですね。
まだまだ野外採集(昆虫採集)を楽しんでいる私ですが、皆さんは、今年の野外採集(昆虫採集)等で手に入れたクワガタ&カブトムシ達はどう飼育されていますか?
採集等を楽しみ、成虫の格好よさをじっくりと堪能されたことだと思います。
夏の終わりと同時に、クワガタ、カブトムシのシーズンももう終了かと思ってらっしゃる方、いえいえ、まだまだ終わりませんよ~。成虫飼育をじっくりと堪能した次は、今度は幼虫飼育にチャレンジしてみましょう。
今年野外で入手出来た虫達は既に熟成が完了しておりますので、即座に産卵セットを組み、幼虫を取ることが出来ます。
また野外で入手した個体の場合、わざわざ♂と♀を再度交尾させなくても、野外で既に交尾している可能性が高いので、そのまま♀のみで産卵セットを組むことが可能です。
つまり野外採集品の♀と産卵セットがあれば、幼虫を産ませることが出来るんです。素晴らしい~!!
今回より少しずつではございますが、日本のクワガタムシ、カブトムシの産卵セットの組み方、コツなどを、野外採集(昆虫採集)シリーズと並行してご紹介していきたいと思います。
まず第1回目は「ミヤマクワガタ」の産卵セットのやり方をご紹介します。
【ミヤマクワガタ参考画像♂72mm】
【飼育種】
和名:ミヤマクワガタ
学名:Luxanus maculifemoratus
<産卵セット時の方法>
※野外品の♀を利用した産卵セットのご紹介になります※
【累代】天然ものWD♀を使用
【お勧めのマット】黒土マット、完熟マット
【お勧めの容器】クリーンケースM~L程度
【水分量】手でぎゅっと握って団子が出来て、なおかつ水が染み出ない程度
【マットの詰め方】ケース底面7割程度固く詰めて上部3センチはフンワリと。
【設定温度】18~20℃前後(※重要)
ではセットのやり方を画像に合わせてご紹介してみたいと思います。
主役のミヤマ♀を入れます。
セット方法を図示するとこのような感じです。
ミヤマクワガタの産卵ポイントは何といっても設定温度です。
18~20℃ この温度帯がカギとなります。
この温度をキープするのは普通のご家庭では難しいでしょうが、この設定具合によって全て決まるといってもおかしくないと思います。
温度設定さえクリアすれば案外普通に産んでくれることもあります。
しかし産卵数は♀によってバラつきがあり、産む♀は結構な数を産んでくれますが、産まない♀はゼロというのも珍しくありません。
次に産卵セットを組んだ後、今度はいつその幼虫の割り出し作業を行ったら良いのかについてご紹介してみたいと思います。
<割り出し、幼虫取り出しの時期>
基本的にはケース側面や底面に幼虫が見え始めてからになります。
卵や幼虫が1~2頭見え始めたからといってで早期に割り出してしまうと、まだ産む気がある♀の産卵活動を一旦ストップさせてしまうことがあるのであまり好ましくありません。
上記の数位見えてきたら、大成功!もう十分割り出しても大丈夫です。
ミヤマクワガタの♀はオオクワガタやヒラタクワガタ等によく見られる子食いの可能性は低いと思いますので、多少割り出しする期間を長く持っても大丈夫かと思います。
あくまで私の場合になりますが、大体産卵セット開始して、約1ヶ月半~2ヶ月程度を目安に割り出すようにしています。
ただし飼育ケース内の環境が急激に悪化したり、ケース側面や底面にまったく卵や幼虫が見られなかったり、♀が全く潜る気配を見せずマット上面を徘徊ばかりしている時は話は別になります。
今回は野外ものの♀はほぼ交尾が終了していると言っても過言ではないので、♀の持ち腹を期待して、そのまま♀のみを産卵セットに入れるやり方をご紹介しました。
しかし、♀がなかなかマットに潜る行動をしなかったり、何回かセットしても全く産まない場合は、♂がいるならば再交尾をさせた方が良い場合もあると思います。そのあたりは状況を見て臨機応変に対応してあげて下さいませ。
下の画像は過去に行ったミヤマクワガタ産卵セット割り出し風景です。
上手くいけばこのように幼虫を得られる機会も大いにあります。
いかがでしたでしょうか?上記が私の本土産ミヤマクワガタの産卵セットの組み方です。
何度も書いていますが、ミヤマクワガタを産ませるかどうかは温度管理にかかっています。低温管理をキープするのは難しいですが、幸い今からの時期は少しずつ寒くなりますので、夏場にセッティングするよりは管理もしやすくなるのではないでしょうか?
もし可能ならば機会がありましたら是非一度産卵セットを組み、幼虫飼育を挑戦してみて下さいませ。(^^)
※この方法はあくまでも私:Shihoの産卵セットの組み方です。やり方は人それぞれですので、あくまでご参考程度にご覧頂けますと幸いです。m〈_ _)m※
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2015年8月29日
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Basicプロテインゼリー(昆虫ゼリー), 完熟Mat(昆虫マット・発酵マット), 飼育ケース, 黒土マット(昆虫マット・発酵マット)
お世話になっております。 貴園で購入したミヤマクワガタWDペアで、産卵初挑戦中です。 ケースはコバエシャッター小、マットは貴園の黒土マットを使用しました。ちょっと水分多めでしたが、8/8(土)に一緒に入れて数日後にメスだけ潜っていきましたので、産卵中でしょうか。潜って約2週間になります。オスは地上でウロウロしているので、週明けに新居(コバエシャッター小)に移す予定です。「子食いの可能性は低い」との事でしたので、安心してメスは姿を現すまで待って、それから新居(コバエシャッターミニ)に移そうと思っています。まだ、幼虫らしき姿は確認できておりません。10/12(月)に割り出し予定。 なお、重要な温度管理ですが、8/6(水)に保冷・保温庫「冷やし虫家」を購入・組み立てして20℃に設定しておいて、始めから産卵ケースごと収納して、2日に1度の頻度で、ゼリー交換・加湿のついでに空気入れ替えさせています。 大変よくゼリーを食べる(17gゼリーを2個2日間で毎回完食)ので、この環境が快適なのでしょうか。 次のステップとして、残っている黒土マットを利用して90ccプリンカップにて一時保管し、1令幼虫は黒土マット、2令幼虫からは黒土マット+完熟マットブレンドで、800cc及び1100ccPPボトルで飼育予定です。 以上の内容で問題ないでしょうか。ご教示頂けると幸いです。 後、オオクワガタも産卵挑戦中ですが、こちらは「子食いもある」との記述で、少々びくついております。オスはやはり地上でうろついているので直ぐに新居移転予定ですが、潜って姿を見せないメスも、多少無理してでも産卵床から掘り出して回収した方が良い、という事でしょうか?こちらも、ご教示頂けると助かります。 宜しくお願い致します。
Comment by Puffin — 2015年8月29日 @ 7:59 PM
Puffin さん レスありがとうございます。 飼育日記担当のShihoです。 ミヤマクワガタの産卵セッティングのやり方、今後の予定等、素晴らしいです! 「2令幼虫からは黒土マット+完熟マットブレンド」、これも素晴らしい!成長に応じてエサの栄養価を変えていくことが大型につながると私も思いますので、全く異論はありません。 ミヤマクワガタに関してはやり方的にも全然問題ないのではないでしょうか。おそらく私もPuffin さんと同じようなやり方をすると思います。 次にオオクワガタの子食いに関してですが、これはある程度は覚悟しておく必要があると私は考えます。 オオクワガタ、ヒラタクワガタ、コクワガタ、この種は自分で産卵して幼虫が孵化したら、その幼虫を食べて蛋白質を補給し、また産卵する・・・という行動をとってしまいます。 大自然の中で産卵する場合は産卵する場所は広大なので、自分が産卵し孵化した幼虫に再び会うことはあまりないと考えます。 しかし飼育ケース内の産卵木では産むスペースが限られていますので、必然的に前産んだ幼虫達と出逢ってしまう可能性がかなり高めです。 クワガタの中でもチビクワガタや外国産でもタランドゥスなどは比較的幼虫と共生して近くにいても仲良くしている場合が多いのですが、こと国産オオクワガタやヒラタクワガタ等は次々に捕食してしまう傾向が強いと考えます。 この子食いに対する対策としては、 ・ある程度材が齧られ、これ以上は産むスペースがないと思ったら一度その材を取り出して、親♀とは別に保管する。そして産卵セットには新しい材を入れてやる。 私は上記の方法で対応していますが、それでも食べられている現場をよく見ています。 後は高蛋白質が欲しいのならば、エサに少し工夫をする。とか。 高タンパクゼリーは当然与えている事と思いますので、それ以上の蛋白質を入れてやり、そちらに注意を向かせる・・・等です。 高蛋白質のものとは例えば ・バナナ ・加糖したヨーグルト ・牛肉の脂などを利用したラード(糖分入り) などです。 実際私も試したことはあるのですが、食べることは食べます。 しかしやはり生の蛋白質(幼虫)も食べられていました。 完全にやめさせることは出来ないとしてもあくまで軽減させる目的という感じで与えてみるのも手だと思います。 それから♂の方も交尾が完了しているのであればお早目に退避させることをお勧めします。 ♀が蛋白質を補給するのは幼虫だけではなく、成虫♂も食することがありますので。 以上、あくまで私の考え&やり方で参考になるか分かりませんが、お読み頂ければ幸いです。 よろしくお願い致します。 飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2015年8月29日 @ 8:39 PM
早速のご返答ありがとうございます。 では、ミヤマクワガタの幼虫飼育については、予定通りの計画で進めて行こうと思います。 成虫に関しては、この先産卵が終了する頃が寿命かも知れませんが、色々ネット上で調べてみたら、越冬したケースもあった、という記述を発見したので、このまま「冷やし虫家」で20℃管理して長寿に挑戦してみようと考えています。「冷やし虫家」は設定温度以下に外気温が下がると自動的に保温庫に切り替わり、常に設定温度を維持する仕組みなので、幼虫飼育ビンとともに収納してやってみます。上手くいくかどうか、結果は手順を含めて改めてご報告します。 オオクワガタについては、3つがい産卵飼育中ですが、何れも成虫を入れたままです。材産みではなく、貴園の「産卵初めてセット」菌床ケースを利用しています。7/11(土)・7/27(月)・8/8(土)から入れたままなので、だいぶ卵や幼虫を食べられてしまったかもしれません。ゼリーをメスが食べた形跡がない(そもそもほとんど地上に出てこない)ですし、2番目までの菌床はボロボロに掘られて崩れた状態です。手遅れかもしれませんが、今留守にしているので週明け月曜に帰宅したら、オス・メスとも取り出す事にします。材産みではないので、ダメもとで、メスだけ別の産卵菌床ケースを作って移してみます。 色々ご教示有り難うございました。 貴園のサイトは、他のどこよりも充実していて、勝手のわからない初心者には大変助けになります。飼育用品も、良質のものが非常に安価に入手できるので、これからも購入させて頂きます。 今後とも宜しくお願い致します。
Comment by Puffin — 2015年8月29日 @ 10:16 PM
Puffinさん レスありがとうございます。 飼育日記担当のShihoです。 そうでしたか、菌床産卵セットでしたか。失礼いたしました。 そうですね、材でないならばセットごと取り換えるしかなさそうですね。 でも菌床産卵セットならば、材よりも面積が広いので、親♀が幼虫を食する可能性も材よりは低いかもしれません。 最初(7/11)にセットしたものは確かにもうそろそろ♀を取り出しても良い時期ですが、後の2つはまだ菌床がボロボロになっていなければもう少し様子を見ても良いかもしれません。 私ならばセット開始から~約1か月半程度はそのまま放置しますが、あくまでも菌床の具合次第ですね。 でも2番目もボロボロとのことなので、もうこれ以上産むようなキレイなスペースがなければ2番目のセットまで取り出しても良いと考えます。 最後のセットはもうしばらくは大丈夫ではないかと思います。 ご参考程度に聞いて頂ければ幸いです。 またご丁寧なお言葉ありがとうございます。 そうやって仰って頂けると、私も飼育日記を書いてて良かったと本当思います。 こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願い致します。 飼育日記担当:Shiho
Comment by tsukiyono — 2015年8月29日 @ 10:47 PM
先日は、色々ご指導有り難うございました。 貴園で8月に購入したミヤマクワガタWDは、メスがずっと黒土産卵床に潜ったままです。オスは地上をうろうろしています。ゼリー交換の時に、いつも元気に大歯を持ち上げて挨拶してくれます。しぐさが可愛いので、撫ぜてあげます。このまま10月までメスはそっとしておこうと思います。温度は「冷やし虫家」内で20℃一定管理です。 オオクワガタ3つがいですが、最初に挑戦した貴園からの1つがいの産卵床の割り出しを先程行いました。 結果は・・・、失敗、ゼロでした(涙)。 7月11日からなので、時期的にはちょうどの頃だと思ったのですが、 外から幼虫らしき姿は確認できず、嫌な予感がしていました。 割り出ししても、表層はメスが掘り砕いていましたが、内部はメスや幼虫が掘った穴のような痕跡もなく、途中で失敗を確信しました。 原因としては、 1)全くの初めてで知識もなかったので、成虫到着と同時にペアリングを考えずに「初めてセット」に入れてしまった。入れて翌日からメスがずっと産卵床に潜ってしまい、オスと交尾する機会がなかった。 2)入れてから1ヵ月半以上つがいを入れたままにしていたので、「子食い」してしまった。 3)メスまたはオスに繁殖能力がなかった(成熟度としては、2014年6月から12月羽化、とあったので十分なはず)。 などでしょうか。 一応、メスは新しい産卵床に8月31日から移しています。やはりずっと潜ったままです。11月に再度割り出ししてみます。 また、今回の割り出しの菌床ですが、万一「卵」が残っている可能性も考慮して、取り敢えず全部回収して元のケースに入れて暫く様子を見てみることにしました。 これでも駄目なら、越冬させて来年、他県から入手した2015年4月羽化のオオクワガタ1つがい(未熟の為今年は繁殖見送りました)と、ペアチェンジして、アウトブリードしてみようと思います。 他の2つがいのうち、7月27日からのペアのメスは、最初の菌床をぼろぼろにしていたので新しい菌床に移しましたが、これもすぐにぼろぼろに。このペアは、数日間ペアリングのため狭いケースに入れてみたので、多少期待が持てます。 8月8日からのペアの菌床は、仰るとおりあまりぼろぼろになっていないので、まだメスだけ最初の菌床に入れたままです。もう少し様子を見てから、9月下旬ごろにでも新しい菌床に移そうと思います。 温度は、今もエアコン24時間24℃設定のままです。温度管理だけは厳密にやっていこうと思います。 残念な結果でしたが、これも経験、と思って前に進もうと思います。 全くの初心者なので、一つ一つ失敗を積み重ねて、何とか成功に結び付けたいです。 自分で菌床を詰めて用意した100個のプリンカップが空しいですが、まだ後があるので、希望をもって備えておきます。 今シーズンはせめて、ミヤマクワガタだけでも繁殖成功したいです。WDなので、ペアリングの失敗の可能性は低いと思います。 何かアドバイスがあれば、ご教示いただけると幸いです。 今後とも宜しくお願い致します。 先ずはご報告まで。
Comment by Puffin — 2015年9月12日 @ 12:04 PM